羽根も可動部もない風力発電「Ewicon」

Ewicon.png オランダのデルフト工科大学が、羽根がなく動く部品もない風力発電システム「Ewicon」を開発しています。荷電粒子を風で電界の反対方向へ移動させることで発電するものです。【写真:WIRED】

 風力タービンの大半は、風のもつ運動エネルギーを羽根を回す機械的エネルギーに変え、その羽根の回転で電気エネルギーを生み出すことで発電します。これに対してオランダのデルフト工科大学で開発されている「Ewicon」は、風力エネルギーから直接電気エネルギーを生み出すことができます。Ewiconとは静電風力エネルギー変換器(Electrostatic WInd Energy CONverter)を略したものです。

 この方式では、荷電粒子を風で電界の反対方向へ移動させることで発電が可能になります。装置は絶縁管が約40列並ぶ、巨大なテニスラケットのような鉄のフレームで構成されています。それぞれの管には複数の電極とノズルがあり、ここから、プラスに帯電した水を空気中に放ちます。このプロセスは「エレクトロ・スプレー」と名付けられています。

 プラスに帯電した粒子は普通なら陰極に向けて移動しますが、風によって陰極から離れる方向へと粒子を押させるならば、ちょうど重力に抗して岩を山の上まで押すのと似たかたちで、電気的な位置エネルギーが増加します。このシステムで生み出されるエネルギーの量は、荷電粒子を噴霧するコーンの数と風の流量に左右されます。

 システム全体には、バッテリー、インバーター、高電圧直流送電、ポンプ、および帯電システムが含まれます。すべてのコンポーネントは、セラミック絶縁体で支えられた金属板の上に置かれています。この絶縁された金属板がコンデンサーの役割を果たし、帯電した水滴を放出することで電気を蓄えます。

 研究チームはこれまでのところEwiconの小さな機能プロトタイプを数基しか作成していませんが、大規模モデルをつくるための資金探しを行っています。小型モデルのひとつは、デルフト工科大学の理工学部建物の前に設置されているとのこと。

(WIRED)


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このページは、green plusが2013年4月 5日 10:41に書いたブログ記事です。

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