自動車各社の軽量化、数年で急激に進む

 大幅な燃費改善目標を掲げた世界の自動車メーカー各社は、将来の自動車としてハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)を売り込んでいますが、ここに来て燃費向上の早道として在来のガソリン車の改良に力を入れ始めています。

 自動車は過去100年間、主として鋼鉄で造られてきました。しかし14日当地で開幕した北米国際自動車ショーでは多くの自動車メーカーが燃費改善のため、これまではレーシングカーにしか使われなかったプラスチックやアルミ、マグネシウムを鋼鉄の代わりに使用し軽量化を図っています。

  ただ現在のところ、新しい特殊軽量素材の利用は一部の部品に限られています。例えば、フォード・モーターのスポーツ用多目的車(SUV)「エクスプロー ラー」 の場合、テールゲートにマグネシウムが使用されているぐらいです。ですが、今後4~6年後には各社が、特殊素材を幅広く利用した自動車を生産するようになるだろうといいます。

  ホンダ自動車の米上級マネジャー(エネルギー戦略担当)のロバート・ビエネンフィールド氏は、最近アナーバー(米ミシガン州)で開かれた燃費問題に関するシンポジウムで、「自動車は今後十数年間に大変貌を遂げるだろう」とし、「従来型の自動車について再定義が行われるだろう」と述べました。

 米政府は自動車各社に対し、2025年までに自動車の燃料1ガロン当たりの走行距離を平均54.5マイルと現行のほぼ2倍に引き上げることにしています。欧州連合(EU)もCO2排出規制により、実質的に同様の燃費目標の達成を義務付けています。

  このための戦略の一つが軽量化です。トロイ(ミシガン州)にある自動車市場調査会社ダッカー・ワールドワイドによれば、各社はアルミの利用を倍増し25年ま でに1台当たりの平均車体重量を400ポンド削減する方針で、この結果、平均車体重量に占める鋼鉄の比率は56%から46%に低下すると見込まれています。 またGM、フォード、クライスラー・グループの3社が参加している米自動車研究協議会は、20年までに1台当たりのマグネシウム利用量は約350ポンドに 達し、500ポンド相当の鋼鉄を代替することになると予想しています。

 です が、軽量化戦略には不確定要因もあります。アルミは鋼鉄よりも高価で、マグネシウムはさらに高いことです。自動車メーカーには、コスト増を補てんするため自動 車価格を引き上げられるという保証はありません。また、新素材は鋼鉄よりも変形がやっかいなことがあり、例えば、マグネシウムは形状記憶性が強く、プレス加工が 難しくなります。

(ウォール・ストリート・ジャーナル)


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このページは、green plusが2013年1月17日 10:37に書いたブログ記事です。

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