スウェーデン、ストックホルム大学の研究者らによると、北極周辺では世界平均の約2倍の速さで気候温暖化が進んでいるとのこと。この北極周辺の永久凍土に、地球上の土壌に貯留されている炭素の約半分は閉じ込められています。
氷河期だった更新世以来、シベリアの北極海北東部沿岸には、「エドマ」と呼ばれる永久凍土の中にCO2が凍結されています。しかし、「最果ての地」であるため、あまり研究されてきませんでした。
しかし地球温暖化と海岸侵食によって今、この「氷の蓋」が溶け出し、これまでに考えられてきた10倍の量にあたる年間4000万トンもの炭素が放出されています。約3分の1はもっと上の海洋堆積物の層に捕捉されますが、3分の2はCO2として大気中に逃げ出しています。放出されたCO2は気候温暖化を加速し、その温暖化によって凍結していた炭素がまた放出されるという悪循環も起きているといいます。
エドマで凍結していた炭素の放出量は、米国の自家用車1台の年間放出量を平均5トンとした場合、500万台分に相当するそう。
ネイチャー誌に発表されたもう一つの研究は、南極の氷床下に眠るメタンの量を英蘭米の共同チームがコンピューター・モデルを使用して推計したもの。メタンはCO2より25倍ほど効率よく太陽熱を吸収する気体で、南極の氷床下には40億トンものメタンが存在する可能性があるといいます。海面が凍結する以前に
この地域に住んでいた生物の遺骸が堆積層に閉じ込められ、後にその上を氷床が覆ってできたものです。
研究チームは声明で「われわれのモデルは、 微生物が何百万年もの間、そこに堆積した古い有機炭素をメタンに変えてきた可能性を示すものだ」と説明しています。そして、もしも氷床が崩壊すればこのメタンが放出され、温暖化を推し進めうるとしました。
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