
うま味調味料の主成分はアミノ酸の一種であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)。原料はサトウキビやキャッサバ芋、トウモロコシなどで、同社は海外9カ国に工場を持ちます。
ブラジルのサンパウロ州ラランジャル・パウリスタ工場では5月から、サトウキビからMSGを取るために使う糖蜜を絞ったあとの残りかす「バガス」を活用し たバイオサイクルを始めました。約10億円を投じてボイラーを新設。重油の代わりにバガスを燃やしてる蒸気を発生させます。外部からもバガスや木くずを購入して蒸気発生量を増やし、フル稼働時には工場全体で必要な蒸気の約7割を供給できる体制とするそう。軌道に乗れば、年間約2万4000トンのCO2排出削減につながるといいます。
ブラジルは世界最大の砂糖生産国で、味の素は1977年からMSGの生産を開始。これまでもサトウキビの糖蜜をMSG製造に使った後に残る廃液を液体肥料として再利用し、サトウキビ畑にまくなどのバイオサイクルを行ってきました。廃液には栄養成分の一部が残っており、「サトウキビの生育に良い」(環境・安全部)といい、バガスを燃やした後の灰も土壌改良剤として活用する方針。地域の資源を無駄なく生かし切り、再び地域のサトウキビ畑などを育てるサイクルが強化されます。
一方、タイでは地域で豊富に生産されるキャッサバ由来の糖類を原料にしています。カンペンぺット工場(官辺ペット犬)ではキャッサバ芋をスライスして乾燥させた「タピオカチップ」を使い、MSG生産とバイオサイクルに取り組む準備を進めているとのこと。
タピオカチップからデンプン(スターチ)を作り、MSG生産に使う糖液を抽出しますが、その過程で絞りかすや廃液が発生。これらを発酵させてメタンガスを発生させ、このガスを燃料に蒸気を作る手法です。
昨年末にメタンガスを発生させるプラント1基の試験稼働が始まり、2013年度中に十数億円を投じて4基を増設し、本格稼働を始めます。完成後は工場で必要な蒸気の1割程度を賄う体制となります。メタンガスを取り出した後の残りかすも肥料などに活用する方針。
同工場は08年12月にバイオマスボイラーを導入し、地域の未利用資源だった稲のもみ殻を燃料として使用してきた経緯もあり、今回の取り組みでさらにバイオサイクルが強固なものになります。これにより年間で1万6800トンのCO2排出量が削減できるといいます。
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