国際エネルギー機関(IEA)によると、米国の発電関連のCO2排出量はこの5年間で4億5千万トン減少。調査対象国の中で最大の減少幅を示しました。
IEAチーフ・エコノミストのファティ・ビロル氏は、米国のCO2排出量が減った原因として輸送燃費の改善と電力供給で石炭からガスへの「大転換」が進んだ点を挙げました。「これは政策と技術革新の連携が生み出したサクセスストーリーだ。政策効果で省エネが進み、技術革新によりシェールガスの生産が可能となった」と語りました。
シェールガスの登場で米国のエネルギー情勢は一変しました。生産急増で天然ガス価格は10年ぶりの水準まで低下し、産業再生への期待も膨らんでいます。
一方、環境問題を巡り激しい論争も起きています。シェールガスの生産過程で地下水が汚染される可能性があるとの批判もあるそう。
ガスは急速に米国の主要発電用燃料となりつつあり、米エネルギー省によれば、石炭火力発電はこの1年で19%減少したのに対し、ガス火力発電は38%増加。ガス火力発電所のCO2排出量は石炭火力発電所の半分で済むといいます。
ですがIEAによれば、化石燃料の燃焼が主因となり、2011年の世界全体のCO2排出量は316億トンに達したとのこと。前年に比べ10億トン増え、06~10年の年平均排出増加量6億トンを大きく上回る数値です。
国際環境保護団体グリーンピースのジョン・ソーベン代表は「この排出増加は壊滅的な影響を及ぼすだろう。真の緊迫感を持ち、即座に行動を起こさなくてはならない」と警告しています。
中国の11年のCO2排出量は前年比9.3%増となり、7億トン以上増えました。インドはロシアを抜き、中国、米国、欧州連合(EU)に次ぐ世界第4位のCO2排出国となりました。
中国はCO2排出量ではトップですが、1人当たりの排出量では先進国の3分の2にとどまります。中国は省エネ対策に「熱心に取り組んで」おり、こ の5年間でエネルギー効率は15%改善したとIEAのビロル氏は指摘。中国の取り組みがなければ、世界のCO2排出量はさらに15億トン多かったはずだと いいます。
(日本経済新聞)
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