東日本大震災で被災した宮城、福島、岩手各県で環境都市(スマートコミュニティ)の整備が始まりました。経済産業省は17日、福島県会津若松市や宮城県石巻市、岩手県釜石市など事業計画の策定を補助する8地域を採択しました。再生可能エネルギーの活用と電力制御を柱とする計画を9月末にまとめ、 2016年春までの実現を目指すとのこと。新時代のインフラ整備モデルを確立し、被災地の産業復興にも役立てます。
採択されたのは3県の計8地域。今回、福島県では1カ所にとどまりましたが南相馬市やいわき市では「構想の策定に向けた支援を行う」(同省)考えです。対象市町村のほか、富士通や東芝、トヨタ自動車、東北電力といった大企業と、水産加工業協同組合など地元の産業・企業も参加します。
事業計画が認められると、機器やシステムなどの導入費用も補助されます。横浜市など他の地域の実証実験の成果も生かし、街全体の電力と熱エネルギーを最大限に活用するインフラの整備を進めます。
会津若松市では同市と富士通、東北電力が中心になって小規模のバイオマス発電施設を同市内に複数配置し、間伐材や廃熱を有効利用する方法を模索するそう。太陽光・風力発電や蓄電池の活用も進めます。電力の需給を細かく制御するコントロールセンターも構築します。
富士通は福島県西部の会津若松地域で、バイオマス発電などで約15万キロワット以上の再生可能エネルギーの潜在発電量があるのを確認しており、その活用とIT(情報技術)による需給の細かな制御を実現させます。10月以降は公立大学法人の会津大学が設立する復興支援センターを介してNECやアクセンチュア、NTTグループも加わる見通しとなっています。
宮城県石巻市では東芝と東北電力が協力して災害時も電気が使える「エコ・セーフティタウン」を目指すとのこと。新しく整備する市街地に太陽光発電システムや蓄電池を導入。地域の効率的なエネルギー利用を管理するシステムを開発します。住民に生活関連情報を発信する拠点も開設。市役所や警察など公共施設、医療機関から情報を収集し、ITを使って住宅に伝達する仕組みをつくるそう。
岩手県釜石市は行政機能や産業が集中している市中心部への災害時のエネルギー供給維持に向けたプラン策定を目指します。新日鉄エンジニアリングと東北電力と共同で、太陽光発電やバイオマス発電、風力発電など様々な電力確保策を採算性も含めて検討し、導入につなげるとのこと。
(日本経済新聞)
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