EU域内の空港を使用する全ての航空会社は今年の1月1日から、EUの排出権取引制度(ETS)の適用を受けることになりました。この後、報復措置に出ると脅す国が相次いだほか、貿易戦争の可能性を指摘する声も上がりました。米国の航空会社はしぶしぶ従う姿勢ですが、中国は自国の航空会社が許可なしにETSに参加
することを禁じました。ボイコットを警告していたインドは11日、自国の航空会社がETSに参加するのを正式に禁じました。
ナタラジャン環境相は「これはディールブレーカーだ。気候変動対応を隠れ蓑にした一方的な貿易措置だ」と述べました。同環境相は「気候変動交渉を念頭に置く限り、この制度は受け入れられない」と付け加えました。同環境相は世界の気候変動交渉でインド交渉関係者の代表を務めています。このコメントがインド政府の方針を反映しているかは今のところ不明。
これに対し欧州委員会の環境担当報道官は、EUがインドのような新興国よりも、より早期かつ大幅にCO2排出量を削減する意向を示していると指摘。「双方とも世界のCO2排出量を減らそうという同じ目的を共有しているのに、なぜETSがディールブレーカーになるのか理解できない」と述べました。
EUの法律に違反した航空会社は、排出を許可された量を超えるCO2について、トン当たり128ドルの罰金を科されます。違反が続く場合、当該航空会社による空港の使用が禁止される恐れもあるそう。
同法順守費用は、例えば北京発フランクフルト行きの便の乗客1人当たり2ユーロ程度と極めて少額で、運賃に組み込めます。
しかしETS反対派は、EUの法律に域外適用の余地があることを懸念しており、欧州域内の部分だけでなく、全ルートについて料金を課され、EU以外の航空会社が不利になることを憂慮しています。
(時事ドットコム)
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