環境省は来年度から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国立環境研究所と共同で、世界で唯一の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の後継機開発に着手、16年の打ち上げを目指します。【写真:現行の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」=環境省提供】
観測センサーと解析手法の改良で、後継機は現行の10倍の精度で観測可能になり、米国や中国のように国土が広く、排出量の多い国なら排出量を宇宙から監視できるようになるとのこと。米国は13年、中国は15年、EUも18年に同様の衛星を打ち上げる計画で、世界の温暖化対策も「宇宙時代」に突入します。
「いぶき」はCO2とメタンを専用に観測する衛星。それぞれ特定の波長の光を吸収する性質を利用し、分布度合いを測定します。09年1月に打ち上げられ、10年2月から観測データの提供を始めました。地上の観測地点は世界で約300カ所ですが、いぶきは地球を約98分で周回し、3日間で5万6000カ所を観測できます。これまでに地球全体を64地域に分割し、季節ごとの排出量の変化などが公表されてきました。
いぶきの運用は順調ですが、設計上の耐用年数は5年。雲や大気中のちりで観測の精度が落ちる問題もあり、センサーを強化した後継機開発を決めました。
各国の排出量は、石油や石炭など化石燃料の年間使用量などから算出されています。CO2を大量に吸収する森林や海洋の働きなど自然要因をほとんど考慮していないうえ、一部の国では排出量の統計の信頼性に疑問も出ています。
いぶきでもある程度、実際の排出量は分かりますが、国ごとの排出量まで把握するのは難しかったそう。しかし、より精密になる後継機は、面積が「大陸のように」広い国なら把握が可能。米中など大排出国の排出量が正確か、宇宙から検証できるほか、南米アマゾンやアフリカのコンゴ盆地などの熱帯雨林の吸収能力低下などの「異変」もいち早く察知できるようになるといいます。
(毎日新聞社)
耐用年数の他、雲やエアロゾルの影響など難点がありましたが、後継機はより精密な観測データで温室効果ガスの排出量の変化を把握できることで、世界の温暖化対策に重要な役割を担うのではと思います。
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