栃木産技センター、スギ樹皮からバイオ燃料生成

 栃木県産業技術センター(宇都宮市)は独立行政法人の森林総合研究所(茨城県つくば市)と共同で、スギの樹皮からバイオ燃料のエタノールを生成する技術を開発しました。
 これまで焼却処分されている樹皮を有効活用して、CO2の排出が少ないガソリンとの混合燃料への活用に道を開きました。

 木材の加工の際に出る木くずや樹皮は、栃木県内だけで年間25万立方メートル発生します。おがくずは堆肥などへ転用できますが、樹皮は使い道がほとんどありませんでした。

 木からバイオエタノールを作り出すには、植物の細胞壁の主成分であるセルロースを分解してブドウ糖(グルコース)にする必要がありますが、樹皮はセルロースの糖化を阻害する「リグニン」という物質を多く含むため、エタノール製造は難しいとされていました。

 リグニンはスギの樹皮の成分の約4割を占める。「蒸解」と呼ぶアルカリ性の化学物質を混ぜる技術を利用して、リグニンの含有率を10%以下まで低減。その結果、セルロースであるパルプを糖化しやすくすることに成功しました。最終的には糖を酵母で発酵させてバイオエタノールができます。スギ以外の樹皮でも応用可能だそうです。

 バイオ燃料は、燃料が生み出すエネルギー量が、燃料を作るのに必要なエネルギー量を下回ってしまうと意味がありません。同センターはエタノールの燃料としてのエネルギー量を「収入」、蒸解などで使うエネルギー量を「支出」に見立てて有効性を検証し、収入が支出を上回ったということです。

 実用化にはなおハードルがあります。原料となる樹皮を収集する際のエネルギー量などを考慮する必要があるほか、人件費などのコスト面も課題になりそうです。

 国内のバイオエタノールの生産見込み量は2011年で3万1000キロリットル。政府はバイオ燃料(ディーゼル燃料も含む)の生産を30年には600万キロリットルまで引き上げる目標を掲げています。

日経新聞

 来年度から現行の森林施業計画が森林経営計画に移行され、切り捨て間伐ができなくなる中で、間伐材の有効活用のひとつとして期待されます。普及啓発のためにも、バイオ燃料用の間伐搬出については補助金の面で優遇されるなど行政の支援が欲しいところですね。

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このページは、green plusが2011年12月22日 08:33に書いたブログ記事です。

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