今後は、小委員会案を踏まえた環境省案が、より産業界に配慮した経済産業省案と一本化される見通しですが、産業界には制度の導入自体に反発する声が強いうえ、導入の根拠となるはずの地球温暖化対策基本法案が成立しておらず、実施時期は見通せない状態です。
小委員会案では、大量にCO2を排出している企業を対象に、政府が総排出量に上限値を設け、上限値は、既存の省エネ技術を導入すれば達成出来る水準にします。
一方、電力会社については、電力の供給義務を負っていて自社だけでは総排出量をコントロールしにくい点に配慮し、例外的に総排出量ではなく生産量(発電量)当たりの排出量に上限値を設けます。生産量が増えれば排出量が増える可能性はありますが、この方が負担が少ないとみた産業界の委員らは、例外扱いの企業を増やすよう主張し、事務局を務める環境省が譲歩。例外扱い拡大について「検討する必要がある」と含みを残しました。
(朝日新聞)
ようやく一本化の方向となりそうですが、環境立国として世界に範が示せるようよう、実効性のある排出権取引の早期実施が望まれます。