京都議定書では、米国のほか中国やインドなど排出増加が見込まれる新興国も削減義務を負っていません。期限が延長されると、日本は、排出削減のための設備投資など負担を強いられながら、こうした国との市場競争にさらされることになります。小沢環境相は会談後、記者団に対し、EU提案を拒否する意向を伝えたことを明らかにしました。
EUは、議定書の基準年の1990年以前に省エネ対策が進んでいなかったため、日本より削減の余地が大きくなります。このため、日本の産業界では以前から、EUが延長支持に転じるとの警戒感がありました。中印など途上国側は、先進国が13年以降も引き続き削減義務を負う枠組みとして、京都議定書延長を強く求めています。
COP16でも新たな政治的合意は得られないだろうと言われていたポスト京都議定書作りですが、ここにきて京都議定書を延長する案が出てしまいました。現在、大きな課題として大きく経済的に成長してきた中国やインドといった途上国を、どのように国際的な合意に含めるかが焦点となっているが、これではいつになっても先進国・途上国両者の国際的な政策決定が見られないような気がします。11月に迫っているCOP16までに、先進国内での新たな亀裂が生じかねないなと思いました。
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