新クレジット制度全国説明会 概要

新クレジット制度全国説明会.JPG 2月26に仙台で開催された、新クレジット制度全国説明会に参加して来ました。今回の環境省の全国説明会では、これまでに追加して以下の点が新たに説明されました。

1.現行のJVER制度(以下(J))、国内クレジット制度(以下(国))の両制度の優れている点を取り入れ、多様な主体が参加できる制度とする。

2.環境の観点から信頼が得られるものとするとともに、使いやすく適用範囲の広い利便性のある制度とする。

3.地域資源の活用による温室効果ガス削減に向けた地域の組織やクレジットの地産地消を後押しし、地域活性化に繋がるような制度とする。

4.国際的にも評価され、海外における取り組みにおいても参考とされるような内容とする。

■多様な主体
これまで(国)では、自主行動計画に基づく排出削減に取り組む大企業(買い手)と、 実際に排出量を削減し、クレジットを創出する、それ以外の中小企業(売り手)が共同実施者として申請するものでした。 今後は、買い手不在でもクレジットが創出できるようになるということです。3とも重なりますが、例えば地域で廃食油を集めてBDFを作っているNPOなど、地域での参加者を盛り上げていこうという話です。

■信頼性
(J)では、ISO14065に準拠した制度設計がされています。新制度でもこれと同じく、いずれ海外の市場とクレジットのやり取りが国際的になされるような状況を想定して、MRV(算定・報告・検証)の確立をしておくのが良いだろうということです。

■森林吸収クレジット
また2と矛盾するようですが、厳格な考え方に基づき、森林吸収クレジットに関しては、ダブルカウント防止の観点から、改正省エネ法の報告や、低炭素社会実行計画(自主行動計画の次期制度)には使えないことになりました。(カーボン・オフセットのみ) ここでいうダブルカウント防止とは、ある森林吸収クレジット100tをAが創出して、削減 努力中のBが購入したという場合に、AとBが両方とも100tの削減を主張してしまうと、 200t削減があったと受け止められてしまうので、森林吸収は使途をカーボン・オフセットの限定する、ということです。
このダブルカウント防止については環境省資料の2ページ目の図がわかりやすいです。
http://www.j-ver.go.jp/document/eb20/S5.pdf
また従前の説明通り、(J)からはISOに準拠した信頼性を引き継ぎ、(国)からは申請を 容易とする簡潔な算定式・申請様式を引き継ぐということが繰り返し説明されました。

■運営体制
(J)は、制度文書の決定等を行う運営委員会、プロジェクトの登録・認証等を行う認証 委員会、方法論の審議を行う技術小委員会の3つの委員会がありました。 (国)は運営、方法論の承認、クレジットの認証を認証委員会の1つで行っていました。 新クレジットの委員会は、運営委員会と認証委員会の2つで業務を分担します。運営委員会では、制度文書の決定・改廃に関する審議を、認証委員会ではプロジェクト 登録に関する審議を行います。(J)の認証委員会は、各プロジェクトの認証を厳格に審査していたため、非常に時間がかかっていたのが課題でしたが、新制度では、(国)のやり方で、事務方が認証依頼 プロジェクトの書類を事前に査読し、委員会では効率よく認証を進める可能性が高そうです。

■検証機関への費用
妥当性確認と検証費用も、(J)と(国)では価格が異なっていました。新制度では、 海外との競争力に、また多様な主体の参加を促すために、クレジット創出原価を下げるべく(国)のやり方で入札型になる可能性が高そうです。

■クレジットの登録簿
(J)、(国)、及び新クレジットの3種類が一度に扱えるシステム構築を目指している模様です。 無効化申請もオンライン化される可能性があります。

■移行措置
現行の(J)、(国)の登録・認証済みプロジェクトは移行届出により、一定期間プロジェクトが 継続出来ます。その一定期間が過ぎたあとは改めて新制度で妥当性を確認し登録となります。

■プロジェクト開始日
新制度の要件は2013年4月1日以降ですが、2012年度中の取り組みに関しては、現状(J)も(国)もプロジェクト申請は受付終了しているので、不公平をなくすため、これらは2013年度中に限って新制度でプロジェクト登録が可能です。

■新制度の本格的な案内
2013年3月1日に新制度のホームページが立ち上がる予定だそうです。 また、新しい情報が入りましたら、ご案内いたします。

環境省の説明会資料は、コチラからダウンロード可能です。
経済産業省の説明会資料は、コチラからダウンロード可能です。

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このページは、green plusが2013年2月27日 13:58に書いたブログ記事です。

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