発電設備は、旭化成ケミカルズ(東京都千代田区)のエネルギー総部延岡動力部第2火力発電所内に設置しました。設備で発生した蒸気と電気を、延岡地区にある旭化成グループの各工場へ供給します。
発電能力は1時間当たり蒸気が80トン、電気が1万4000キロワット。木材を5センチ以下に粉砕したチップ60%と石炭40%の割合で混合燃焼させます。既存設備に比べ年間約17万トン(15%相当)の温室効果ガス削減につながります。
環境対策でなく、全社的なエネルギーコストの削減にも期待が集まっています。東京電力の電気料金値上げによって、旭化成ケミカルズ川崎製造所(川崎市川崎 区)の負担が大幅に増えており、エネルギー対策は喫緊の課題となっているからです。新型発電設備の稼働によって高価格で推移している重油の使用量を減らし、木質バイオマスなどに転換することでコストの低減につなげます。
日本の林業は、伐採が十分に行われずに森林の再生が進まないといった問題を抱え、林業従事者数も減少傾向にあります。今回の木質バイオマス発電設備の本格稼働によって、地産地消システムを形成し、林業従事者の雇用を創出、里山の再生というサイクルが構築されることにも期待が集まります。
(Sankei Biz) (日刊工業新聞)