これらの生産施設は、バイオ燃料の定義をトウモロコシ由来のエタノール以外に拡大させるもので、同業界が「高度な」新型バイオ燃料に移行する役割を担っています。新型バイオ燃料とは、食糧需要と競合せず、生産過程のCO2排出量がより少ないものです。
現在、多くの企業が植物のセルロース、動物の排せつ物、それに植物の油脂を使って大量のエタノール、ディーゼル油、ジェット燃料、それにガソリン成分を生産しようとしています。
同業界を後押ししているのは米政府が掲げる向こう10年間にわたる目標です。政府は燃料メーカーに対し、米国の給油所で販売する燃料について、トウモロコ
シ由来のエタノールとは別に、何十億ガロンもの新型バイオ燃料を混ぜるよう求めています。トウモロコシ由来のエタノールは既にガソリン市場の約10%を占め
ているそう。
この目標に促されて、各バイオ燃料メーカーは生産戦略や事業拡大計画を打ち出しています。ただし、太陽光発電や風力発電業界と対照的に、減税措置や助成金に頼っていません。ですが、成長や新規投資が期待されるとしても、投資家がこの技術で大きなリターンを得られるにはまだ数年かかりそうです。
新型バイオ燃料工場で最も期待されているものの一つが、ミシシッピ州コロンバスにある次世代再生燃料会社KiORの施設。今年下半期に生産を開始する見込みです。同社は同工場で木製品をガソリンやディーゼル油の成分として使えるブレンドストックと呼ばれる原料に変えます。この工場は栽培されたサザンイエローパイン(米南部に分布するマツの一種で、成長が良く硬い木材)をバレル当たり約25ドル、つまり米国の原油価格の約4分の1で処理します。
業界誌のバイオフューエルズ・ダイジェストによると、米国では今年、量にして約4億ガロン(約15億リットル)の新型バイオ燃料の新生産が始まる予定です。さらに13年初めから15年までの間に17億ガロンの能力を持つ施設が稼働開始すると予想され、総生産能力は23億ガロン近くになります。
2007年エネルギー独立・安全保障法に基づき、環境保護局(EPA)の「再生燃料基準2」では、トウモロコシ由来エタノール150億ガロンの目標に加えて、高度バイオ燃料を22年までに年間210億ガロンを出荷するよう求めているとのこと。
ただし業者が生産施設を十分に稼働できない場合、高度バイオ燃料目標は削減される可能性があります。石油業界の圧力団体である石油協会(API)は既に、目標は非現実的として訴訟を起こしています。(時事通信社)
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