エチゼンクラゲは産卵地である黄海沿岸の富栄養化や地球温暖化で近年、日本海を中心に大量発生し、漁網を破るなど被害が深刻になっています。
愛媛大の江崎次夫教授(環境緑化工学)の研究グループは、エチゼンクラゲの体組織が、地中で分解され環境に優しいことに着目。植物の肥料となる窒素やリンも大量に含み、保湿効果の高いコラーゲンが乾燥地域では水分をためるため、周囲の植物の生育に役立つことも突き止めました。
研究グループでは、エチゼンクラゲから塩分を抜き、乾燥させ、細かく裁断したものを、愛媛県の山火事跡地など3カ所にまき経過を観察。昨年11月にヒノキが根付いているかどうか調べたところ、クラゲを使用しなかった土壌では、48本中4本(8.3%)が枯れたましたが、クラゲを用いた土壌では95本中4本(4.4%)が根付かなかっただけで、割合では約2倍の効果があったそうです。
しかし、これらの研究に昨年から本格的に研究費を助成しているのは韓国最大規模の研究支援機関です。
江崎教授によると、韓国では朝鮮戦争以来、山が荒れたままになっているところが多く、緑化政策に力を入れているため、クラゲ技術に注目するようになったとのこと。
研究グループのメンバーによると、韓国は将来の世界的な食糧不足を見越して、途上国のほか砂漠を持つ国々への支援を図って影響力を持つことを考えているほか、南北統一後の北朝鮮の緑化に役立てたりすることを考えているといいます。
韓国では昨年から、クラゲ技術を用いてモンゴルで灌木(かんぼく)林の再生を目指してポット実験を開始し、さらにはアラブ諸国にも積極的に売り込んでいるといいます。
江崎教授は「日本の理解度は非常に低いと感じている。食料自給率が低い日本にとって、他国の緑化は自国にとっても大事になる」と日本の戦略のなさを憂えています。
(産経ニュース)
エチゼンクラゲは大きいものでは傘が2メートル、重さ200キロにも及び、実際に船が転覆する事故も起きています。緑化に効果があるということには驚きですが、野菜や果物の生育にも効果が期待できそうですね。
環境ブログランキングに参加しています。よろしければクリックご協力お願いします。