国立環境研究所などは、宇宙航空研究開発機構の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を使い、地球上のCO2の吸収・排出量をより正確に推定したと発表しました。将来の気候変動モデル作成に応用可能といいます。
同研究所などによると、2000年から05年にかけ、化石燃料の消費などによるCO2の排出量は炭素換算で年72億トン。一方、森林の吸収量は年9億トン、海洋による吸収量は年22億トンで、その差は年41億トンとされていました。
これらの数値はCO2濃度の調査結果から逆算されており、誤差を含んでいる可能性が指摘されていました。またアフリカや南米にデータの観測地点がほとんどないことも問題となっていました。
同研究所などは、従来の観測データと「いぶき」が計測した濃度データを組み合わせた推定を実施。その結果、アフリカなどのCO2推定値の精度が最大で約2倍向上したほか、熱帯地方の排出量やシベリアの吸収量もより詳しく分かり、CO2の増加量は年約40億トンで、従来の推定値とほぼ同じだったそうです。
(時事ドットコム)
精度が高まることで、タイの洪水などの異常気象や気候変動が正確に予測可能となることを期待します。