未来のクルマ:軽くて強い炭素繊維車、量産へコスト課題 帝人に続き東レ試作

CFRP.jpg 軽くて強い特性を持ち、日本企業が高い競争力を持つ炭素繊維を使った「未来のクルマ」の量産化が現実味を帯び始めました。最大手の東レは14日、試作した炭素繊維電気自動車(EV)を東京都内で一般公開。帝人も3月、独自の量産化技術を使った試作車を発表しています。ガソリン価格高騰などを追い風に、鉄の代替素材として自動車メーカーへの売り込みが本格化しそうです。

 「重量は200キロ以上の電池を積んでも846キロ。環境対応車として提案したい車に仕上がった」と、東レの胡谷一路自動車材料戦略推進室長は14日、試作車を発表しました。

 試作した「TEEWAVE(ティーウエーブ)AR1」は、炭素繊維を樹脂で固めた複合材料(CFRP)を基本構造に採用。車体重量は従来のEVの2/3程度に軽量化され、電力消費やCO2の排出量を削減できます。

 比重が鉄の1/4と軽く10倍の強度を持つ炭素繊維は生産台数が少ないスポーツカーや高級車の部品に多く採用されてきました。ただし製造コストが鉄の10倍以上と高く、加熱して固める成形にも10分以上かかる弱点もありました。

 このため、東レは試作車で複数の部材を一体成形してトータルの製造コストを削減。成形も10分以内に短縮化しました。将来は3分以内を目指し、15年に1台300万円程度での普及を見込んでいます。

 一方、帝人は、加熱すると軟らかくなるCFRPを使った成形技術を開発。熱で形を変えやすくなるため、世界で初めて1分以内での成形を可能にしました。3月に試作車を公開し、重量は47kgと鉄に比べて1/5に抑えました。

 帝人は、世界的なCO2排出削減の動きを背景に、20年には炭素繊維車の市場規模が世界で年400万台規模に成長すると予想しています。亀井範雄炭素繊維・複合材料事業グループ長は「自動車メーカーに性能が評価されれば、13~14年には量産体制に入れる」とみています。

 炭素繊維は三菱レイヨンを加えた日本勢3社で世界シェア7割を握り、民間調査会社の富士経済によると10年の世界市場で自動車向けは3.4%。普及にはさらなるコスト削減が必要で、自動車や部品メーカーとの共同開発などが鍵になりそうだとのことです。

毎日JP

重量の軽量化は電力消費量やCO2の削減につながり環境にやさしいといえますが、現状ではCFRPのリサイクルは困難と言われています。本格普及に向けてリサイクル技術の確立も期待したいですね。

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このページは、green plusが2011年9月16日 14:01に書いたブログ記事です。

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