金沢市が検討しているのは水力発電の中でも出力が100キロワット以下の小規模な「マイクロ水力発電」です。藩政時代から作られた市内を網の目のように流れる用水が55あり、これを発電に利用します。ダムのようにせき止めず、流れを生かして発電することができます。
100キロワットでは20世帯ほどの家庭電力しかまかなえませんが、市内の用水の総延長は約150キロあり、設置数を増やせば可能性は広がります。
市は発電に適した用水の調査に乗り出し、水利権や景観、騒音といった課題をクリアしなければなりませんが、戦前には市街地を流れる鞍月用水で、大規模な製紙工場が水力を動力源にしていた実績もあります。
導入費用は発電能力が出力20キロワットの水車1台で2000~4000万円、800ワットの水車は300万?500万円といいます。決して安くはありませんが、金沢市は「投資的効果は電力の採算性だけでなく、市民への啓発効果もある」と意義を強調。民間事業へ広げる可能性も探っています。
(中日新聞)
農業用水などさまざまな水流を生かした小水力発電は、全国で導入の動きが加速していますが、し河川の水利権は複雑で、発電に利用するための手続きが大きな障害となっています。発電のための水利権手続きの簡素化など、国の柔軟な対応に期待します。