環境省の有識者検討会は、総出力1万キロワット以上の風力発電施設を設置しようとする事業者に対し、環境影響評価(アセスメント)の実施を義務付けるよう求める報告書をまとめました。同省は近く政令でアセス法の対象に風力発電を追加する方向です。
福島第1原発事故を受けて風力など再生可能エネルギーの導入に期待が高まる中、一定規模以上の風力発電事業にアセス実施を義務付けることで、景観の阻害や騒音、野鳥など動植物への影響を回避し、住民の理解を得やすくしたい考えとのこと。
報告書は、国内の風力発電のうち1万キロワット以上の事業は出力ベースで80%を占め、規模要件として適当と強調。ただ検討会委員からは、風力発電の導入拡大を図るため規模要件を2万キロワット以上に緩和する意見や、騒音被害や野鳥の衝突死を防ぐため5千キロワット以下にするよう求める意見があったことも併記しています。
このほか、動植物など生態系への影響を調べるため施設予定地周辺で最低1年間の現地調査を要請。送電線や鉄塔については、地元自治体が条例による環境アセスを実施するよう求めています。
海上に設置する洋上風力発電は事業例が少ないため、当面は規模要件を定めず、今後の動向を見極めるということです。