途上国の立場から、会見などで厳格な議定書を求め続けたマレーシア「第三世界ネットワーク」のチー・ヨクリンさんは「法令を守っているかのチェック機関をどこに置くかが各国の判断任せになった。伝統的知識の利用に対する先住民族の権利も弱い。議定書がないよりは良いが......」と複雑な表情でした。
欧州のNGO「エコロパ」のクリスティーネ・ワイツゼッカーさんも、内容には満足していません。「いまはハッピーな瞬間ではない。次の段階へ進む始まりにすぎない」。議定書が発効後4年以内に見直されることが決まっているため、「厳しい内容になるよう働きかける」と語りました。
日本の学生などでつくる「国際青年環境NGO A SEED JAPAN」も、チェック機関が厳格に定まらなかったことなどを問題視しています。各国代表団へも主張を伝え続けた小林邦彦さん(22)は「発効後4年までの見直しで修正されるようにしたい」と話しました。
2020年までの世界目標「愛知ターゲット」で注目されたのは、保護区の目標値。
陸域17%、海域10%という折衷的な結論に、米国の「コンサベーション・インターナショナル(CI)」のラッセル・ミッターマイヤー会長は肩をすくめつつ、「(この目標値でも)いいよ」と話しました。
CIは、陸域25%、海域15%を求めてきました。採択のための全体会合が中断しているときには中南米などの政府代表団の間を回り、高い目標値になるよう説得したようです。「陸域の現状(約14%)から17%までは、まず重点的な地域を優先して保護区にしたい。でも、我々はそれ以上に拡大するよう取り組む」
海域20%を訴えていた「グリーンピース」。海洋問題担当の花岡和佳男さん(33)は「一つの目標を決めたことには意味がある」としつつ、10%にとどまったことは残念と言います。「この目標にとどまることはなく、20%、さらに40%になるように力を尽くす。海域の保護区が広がれば魚が増え漁業も持続可能にできる」と話しました。
気候変動枠組み条約締約国会議(COP)は議定書を策定するまでに至らず合意にとどまったので、今回のCOP10では形としてまとめられたことは良かったのではないかなと思います。生物多様性と気候変動は密接に関係しているためどちらも早急に各国が対応を取る必要があると思います。実際に改善のために動くのは市民レベルであるため、政府レベルでの政策決定をCOP16で行い何らかの成果を期待したいと思います。
<朝日新聞社>