EU加盟27カ国のうち、京都議定書でEUとして排出削減を約束しているのは中・東欧などを除く15カ国。欧州委によると、08年のリーマン・ショック後の景気悪化で経済活動が停滞し、08年の15カ国の排出量が90年比6.9%減ったようです。
09年以降の景気動向を考慮した最新の推計によると、EU15カ国の08?12年の平均排出量は90年比で10.4%減。さらに途上国の省エネ努力を支援した見返りとして排出枠を得るクリーン開発メカニズム(CDM)の活用で減少幅として2.7%分、森林吸収で1%分をそれぞれ見込み、最終的に90年比の減少幅が14%を超えるのが確実だそうです。
京都議定書の目標を比較的容易に達成しやすくなったことで、EU域内で20年時点の排出削減の中期目標の上積み論が勢いを増しそうです。EUは20年時点で90年比20%減、米中などの応分の努力を条件に最大30%減とする二段構えの目標を設定済みです。
EU域内では、英国やドイツなどが米中の目標にかかわらず、EU独自の目標を30%減まで引き上げるよう主張、中・東欧やイタリアなどが慎重姿勢を示しています。11月末からメキシコで開く第16回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)の結果を踏まえ、EUは11年前半の首脳会議で目標引き上げの是非を協議することになります。
経済的な要因でこのような結果が出たとはいえ、今後前向きな数値目標を掲げていく良いきっかけとなったと思います。COP16が始まる前に、各国が意欲的な数値目標を掲げ、目標達成のための策を考えていければと思います。これから提示される各国のポスト京都議定書に向けた数値目標を楽しみにしたいと思います。
<日本経済新聞>
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