20年までにGHGを4割削減の目標、欧州各国の省エネルギー政策(スウェーデン)

 スウェーデンはもともと欧州で1、2を争う省エネ、環境保護水準を誇ってきましたが、20年に向け温室効果ガス(GHG)を1990年比で4割削減するなど、さらに意欲的な 環境・エネルギー目標を設定しています。
現政権は特に国民向けの広報・啓発活動に力を入れていますが、秋の総選挙で左派政権が誕生すれば、省エネ設備投資のための補助金支給などを強化する可能性もあります。
 現在の環境・エネルギー政策は、09年6月に発表された2つの法案「環境・エネルギー政策法案」に基づいています。同法案に示された20年までの環境・エネルギー目標は以下のとおりとなっています。

(1)GHGを40%削減する(90年比。排出権取引は含まない)。
(2)全エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を最低50%以上にする。
(3)省エネ(エネルギーの効率的な利用)によりエネルギー消費量(一次エネルギー消費量)を20%削減する。
(4)交通・輸送部門での再生可能エネルギー使用率を最低10%以上にする。

スウェーデンにとって、EU共通の目標でもある「エネルギー消費量20%削減」の実現は容易ではありません。というのは、70年代に暖房効率の向上を意識した建物建築基準をほかの欧州諸国に先駆けて導入しているほか、住宅開発地域(一戸建も含む)には地域集中暖房システムを導入し、家庭ごみ焼却や汚水処理などのサービスとも組み合わせて、より効率的なエネルギー管理を進めるといった取り組みを以前から進めており、既にかなりの水準まで省エネが進んでいるからです。

  政府は、先の省エネ目標を達成し、同時にEUのエネルギー・サービス指令(2006/32/EG)に従うために、10年から14年までの間に、09年までの予算の2倍に相当する3億スウェーデン・クローナ(1クローナ=約11.9円)を毎年支出します。エネルギー庁が管轄当局となって以下の省エネ・プログラ ムを進めているそう。

 省エネのためのアクションプランには以下のものが含まれます。

(1)地域・地方のエネルギー・環境への取り組みの強化。
(2)広報と助言・指導活動の強化。
(3)公共部門が省エネの模範となるべく努力する。地方自治体が省エネに関しエネルギー庁と任意の契約を結ぶ。
(4)エネルギーを大量に使用する企業に対し、エネルギーの利用状況を確認し、より効率の良いエネルギー管理を行うためのプログラムを導入するための補助金を支給(10年から14年)。
(5)社会のエネルギー消費をより効率化するために消費者にエネルギー効率の良い製品を提供することが必要。政府は技術公共調達とエネルギー効率の良い製品の導入を促進する。
(6)09年1月1日以降に新築・改築された建造物に対しては、それぞれの利用者ごと、建物ごとに、電気・エネルギー使用量の個別の測定を必須とする。

従来、集合住宅や集合商業地区などでは、単純に面積比で全体の使用量を分割して料金を計算していました。さらに09年1月1日以降に販売される建造物には、電気・エネルギー消費量を明示することが法律で義務付けられました。エネルギー消費のコストがより明確になれば、国民のエネルギー消費行動が効率化されるという考えに基づいています。(JETRO)

 こういった政策内容からスウェーデンの環境に対する真摯な取り組み姿勢が伺えますね。スウェーデンの首都ストックホルムはヨーロッパで最も環境に優しい街づくりに取り組んでいるとして「2010年グリーンキャピタル(環境首都)」にも選ばれました。



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このページは、green plusが2010年7月27日 20:35に書いたブログ記事です。

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