成層圏の水蒸気、地球温暖化に大きな影響

 成層圏(地表から13~50キロメートル上空)にある、わずか10%の水蒸気が、地球温暖化に大きな影響を及ぼしているという研究報告が2010年1月28日付の「サイエンス誌」オンライン版に発表されました。
 この研究はアメリカ海洋大気庁(NOAA)地球システム研究所の研究員らによるもので、今回の発見から、1980年代・1990年代と比べて、2000年からの10年間、地表の気温が上昇しなかった理由を説明できる可能性が出てきました。

成層圏内の水蒸気量は1980年代・1990年代には増加し、2000年以降は約10%減少しました。その理由は明らかではないですが、研究チームでモデルを利用して計算したところ、減少に伴う冷却効果により、温室効果ガスによる気温の上昇が25%ほど遅れたといいます。
一方、1990年代に成層圏で水蒸気が増加した際は、反対に、温暖化を30%ほど促進する効果があったそうです。研究チームでは、成層圏の非常に限られたエリアで、気候変動に大きな影響を及ぼすような変化が生じていたことが明らかになったとしています。


 大気中の水蒸気量は、人間の力で調整できるものではないのですが、CO2が増えると水蒸気も増えてしまい、水蒸気フィードバックという悪循環が起きます。

CO2の増加によって、地球の気温が上昇すると、海などから水が蒸発し、大気中の水蒸気の量が増え、それだけ温暖化が進みます。それに伴い、ますます水が蒸発し、水蒸気の量が増えてしまいます。この過程を「水蒸気フィードバック」と呼びます。

水蒸気の量は、私たちの力ではほとんど変えられない一方、CO2の排出量は私たちの力で変えることができます。私たちがCO2を減らし水蒸気フィードバックを加速させないことが重要といえますね。

 成層圏内の水蒸気量が2000年以降は何故約10%減少していたのか、その理由を解明するとともに更なる研究を進めていってほしいと思います。


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このページは、green plusが2010年2月15日 13:50に書いたブログ記事です。

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