持続可能な森林経営研究会発足

 地球温暖化、生物多様性の低下等、地球規模の環境問題の深刻化により、我が国はもとより世界の森林の重要性がますます高 まっています。我が国では、戦後植栽した人工林は成熟期に達し「育成から利用」の時代を迎えようとしています。
また、石油をはじめとする資源需給の逼迫が見通される中で、国産材の利用についても変化が進行しています。
 しかし、このような大転換期を迎えているにもかかわらず、森林・林業がそれに十分対応できていないのではないでしょうか。

例えば、国産材の安定供給です。路網が未整備なうえに、生産箇所の集約化ができておらず、高性能林業機械が効率的に使いこなされていない等、生産体制が構築できていません。また、森林資源の内容が的確に把握されておらず、所有界さえ不明確になってきています。林業労働者は高齢化し、若年労働者の育成は進んでいません。森林の多面的機能の発揮が標榜されながら、長伐期林や複層林、針広混交林等をどこで、どのように造成していくかが林業関係者に徹底されていません。このことは、つきつめれば、現場を指導すべき技術者が少なくなっており、大学等において、現場に即応した技術者が養成できていないという問題に行き当たると思われます。

 以上のようなことを考えると、ことは表層的に現れた課題のみでなく、森林・林業を支えてきた基礎が、林業の長い停滞等の中で、弱体化してきていると言わざるを得ないでしょう。

 「持続可能な森林経営研究会」は、このような森林・林業の現状に危機意識を持ち、森林、林業、木材利用の全般について、「持続可能な森林経営」を踏まえつつそれぞれの問題点をみつめ、そこから摘出される課題の一つ一つに対応策を考え、さらにそれらを総合化し、改革の具体策を明らかにしようとして発足したそうです。

 具体的には、今後1年半程をかけて、隔週毎にセミナーを開催し、それぞれの課題に沿った専門知識を有する講師を招き、委員をコア・チームとして議論するとともに、その結果を検討し、改革プランを提言することとしています。セミナーは、原則として公開で行うとともにその結果を公表します。関心を持つ人の参加と積極的な発言を期待するとともに、そのことにより、より実践的な改革プランを作りたいと考えているそうです。

 森林の重要性というものが認識されるようになり、日本林業復興への動きが少しずつ活性されてきています。
持続可能な森林経営が、地球環境において今後も重大な役割を担うことは間違いないでしょう。
日本林業の活性を促進する、実践的な改革プランに期待したいと思います。



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このページは、green plusが2009年12月21日 14:40に書いたブログ記事です。

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